この記事では、「やさしい日本語」で文章を書くためのガイドライン(手引き)の 1 つ「敬語(尊敬語と謙譲語)を使わない」を解説します。
ところどころにある「語彙と文法を確認する」をクリックすると、直近の書き直しで使った語彙と文法を確認することができます。
ガイドラインの概要については、次の記事を参照してください。
原則
「やさしい日本語」では、尊敬語と謙譲語は使いません。「やさしい日本語」は単純明快であることを原則としています。しかし、尊敬語や謙譲語は婉曲な表現であるため、この原則から外れます。
文体として敬体(ですます調)を使うため、丁寧語は使います。しかし、それ以外の用法では使いません。例えば、「お店」や「お食事」など、接頭語(接頭辞)は使いません。ただし、「お金」は例外です。
具体例(その 1)
書き直し前 こちらに お掛けになって ください。
書き直し後 ここに 座って ください。
この例文の「お掛けになる」は尊敬語です。日本語能力試験(JLPT)の N5 レベルの語彙「座る」に書き直します。
「こちら」は丁寧語です。N5 レベルの語彙なので使っても問題ありません。気になる場合は、同じ N5 レベルの語彙「ここ」で言い換えます。
語彙
次の語彙は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- ここ
- こちら
- 座る
- 掛ける(メガネや電話など)
文法
次の文法は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 〜に
- 〜てください(指示)
具体例(その 2)
書き直し前 どちらから いらっしゃいましたか?
書き直し後 どこから 来ましたか?
この例文の「いらっしゃる」は尊敬語です。N5 レベルの語彙「来る」に書き直します。
「どちら」は丁寧語です。N5 レベルの語彙なので使っても問題ありません。気になる場合は、同じ N5 レベルの語彙「どこ」で言い換えます。
語彙
次の語彙は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- どこ
- どちら
- 来る
文法
次の文法は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 〜から
- 〜ました
具体例(その 3)
書き直し前 明日 お持ちいただきたいものを 今から 申し上げます。
書き直し後 明日 持ってくるものを 今から 言います。
この例文の「お持ちいただく」は尊敬語です。N5 レベルの語彙「持ってくる」に書き直します。「持ってくる」は N5 レベルの語彙「持つ」と N4 レベルの文法「〜てくる」を組み合わせたものです。
「申し上げる」は謙譲語です。N4 レベルの語彙ですが、難しい表現なので使いません。N5 レベルの語彙「言う」で言い換えます。
語彙
次の語彙は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 明日
- 持つ
- 今
- 言う
次の語彙は N4 レベルです。問題なく使うことができます。
- 申し上げる
文法
次の文法は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 〜から
次の文法は N4 レベルです。問題なく使うことができます。
- 〜てくる