この記事では、「やさしい日本語」で文章を書くためのガイドライン(手引き)の 1 つ「曖昧な表現を使わない」を解説します。
ところどころにある「語彙と文法を確認する」をクリックすると、直近の書き直しで使った語彙と文法を確認することができます。
ガイドラインの概要については、次の記事を参照してください。
原則
「やさしい日本語」では、あいまいな表現を使わないように心がけます。あいまいな表現は、読み手によって解釈が異なるからです。
例えば、「明日は『少し』早く来てください」の場合、「少し」は人によって解釈が異なります。5 分早く来ればよいのか、それとも 30 分早く来なければいけないのか、はっきりしません。
書き手の意図を正確に伝えるためには、明確な表現を使います。
具体例(その 1)
書き直す前 明日は すこし 早く 来て ください。
書き直す後 明日は 午前 9 時 50 分に 来て ください。
「少し」は日本語能力試験(JLPT)の N5 レベルの語彙です。したがって、使っても問題がないように思えます。しかし、「少し」は人によって解釈が異なります。
書き手の意図を正確に伝えるためには、具体的な時刻を書きます。
語彙
次の語彙は、日本語能力試験(JLPT)の N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 明日
- 早く
- 来る
- 午前
- 時(時刻)
- 分(時刻)
文法
次の文法は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 〜は
- 〜てください
具体例(その 2)
書き直し前 マスクを たくさん 持ってきて ください。
書き直し後 マスクを 5 つ 持ってきて ください。
「たくさん」は N5 レベルの語彙です。この語彙も人によって解釈が異なります。「5 つ」のように具体的に書き直します。ここは「5 枚」と表現したいところですが、「〜枚」は N2 レベルの語彙です。
「マスク」はカタカナ語ですが、あえてそのまま使います。「口と鼻を守るもの」と言い換えることできますが、逆に意味が通じにくくなる可能性があります。
語彙
次の語彙は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- たくさん
- 持ってくる
次の語彙は N3 レベルです。本来ならば、注釈を入れるか、他の語彙で言い換えます。しかし、常とう語であるため、そのまま使っても良いでしょう。
- マスク
文法
次の文法は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 〜を
- 〜てください
具体例(その 3)
書き直し前 今日から 2 週間 休みます。
書き直し後 2 月 1 日から 2 月 14 日まで 休みます。
この文章が掲示板に貼ってあるお知らせと仮定します。すべての人がこのお知らせを掲示日に読むとは限りません。「今日から 2 週間」を具体的な期間に書き直します。
意外なことに「週間」は N3 レベルの語彙です。しかし、言い換えることができないため、そのまま使います。
語彙
次の語彙は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 今日
- 休む
次の語彙は N3 レベルです。できれば注釈を入れるか、他の語彙で言い換えます。
- 週間
文法
次の文法は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 〜から
- 〜まで
具体例(その 4)
書き直し前 浅草寺は とても 有名な 寺です。
書き直し後 浅草寺は 有名な 寺です。
「とても」は N5 レベルの語彙です。この語彙は、加減を曖昧にあらわします。今回は思い切って削除しました。
語彙
次の語彙は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 有名
- 寺
次の語彙はレベル外です。固有名詞や常とう語の場合のみ使います。
- 浅草寺(固有名詞)
文法
次の文法は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 〜は〜です