この記事では、「やさしい日本語」で文章を書くためのガイドライン(手引き)の 1 つ「難しい言葉を使わない」を解説します。
ところどころにある「語彙と文法を確認する」をクリックすると、直近の書き直しで使った語彙と文法を確認することができます。
ガイドラインの概要については、次の記事を参照してください。
原則
「やさしい日本語」では、原則として難しい語彙や文法を使いません。できる限り、日本語能力試験(JLPT)の N4 レベルおよび N5 レベルの語彙や文法を選びます。これらの目安は、次のとおりです。
- N4 レベル:「基本的な日本語を理解できる」
- N5 レベル:「基本的な日本語をある程度理解できる」
ただし、次の語彙は例外です。
- 固有名詞(人名、地名、製品名、その他)
- 常とう語(災害時に使う言葉など)
これらの語彙は N4 レベルや N5 レベルではなくても、そのまま使います。その代わり、必要に応じて注釈を入れます。
具体例(その 1)
書き直し前 地震のときは 階段で 避難して ください。
書き直し後 地震のときは 階段で 逃げて ください。
「避難」は、N1 レベルの語彙です。それに対し、「逃げる」は N4 レベルの語彙です。
語彙
次の語彙は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 階段
次の語彙は N4 レベルです。問題なく使うことができます。
- 地震
- 逃げる
次の語彙は N1 レベルです。注釈を入れるか、他の語彙で言い換えます。
- 避難
文法
次の文法は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 〜とき
- 〜てください(指示)
具体例(その 2)
書き直し前 この 紙に 名前を 記入して ください。
書き直し後 この 紙に 名前を 書いて ください。
「記入」は、N3 レベルの語彙です。それに対し、「書く」は N5 レベルの語彙です。
語彙
次の語彙は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- この
- 紙
- 名前
- 書く
次の語彙は N3 レベルです。できれば注釈を入れるか、他の語彙で言い換えます。
- 記入(する)
文法
次の文法は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 〜に
- 〜を
- 〜てください(指示)
具体例(その 3)
書き直し前 わたしの 会社の 最寄駅は 代々木駅です。
書き直し後 わたしの 会社に いちばん 近い 駅は 代々木駅です。
「最寄駅」は、日本語能力試験のレベル外の語彙です。したがって、注釈を入れるか、他の語彙で言い換えます。
「最寄駅」の場合、N5 レベルの語彙「一番」、「近い」、「駅」を組み合わせて言い換えることができます。
語彙
次の語彙は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- わたし
- 会社
- 一番
- 近い
- 駅
次の語彙はレベル外です。固有名詞や常とう語の場合のみ使います。
- 最寄駅(言い換えを検討すべき語彙)
- 代々木駅(固有名詞なのでそのまま使用)
文法
次の文法は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 〜の
- 〜に
- 〜は〜です
書き直し前 この 階段は 使用禁止です。
書き直し後 この 階段を 使わないで ください。
「使用」と「禁止」は N3 レベルの語彙です。N5 レベルの語彙「使う」の否定形を使って言い換えることができます。
語彙
次の語彙は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- この
- 階段
- 使う
次の語彙は N3 レベルです。できれば注釈を入れるか、他の語彙で言い換えます。
- 使用
- 禁止
文法
次の文法は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 〜は〜です
- 〜を
- 〜てください(指示)
例外(人名)
夏目漱石は、むかしの 作家(書く 仕事の 人)です。
「夏目漱石」は、レベル外の語彙です。しかし、人名なので言い換えることはできません。そのまま使用します。
語彙
次の語彙は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 昔
- 仕事
- 人
次の語彙は N3 レベルです。できれば注釈を入れるか、他の語彙で言い換えます。
- 作家
次の語彙はレベル外です。固有名詞や常とう語の場合のみ使います。
- 夏目漱石
文法
次の文法は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 〜の
- 〜は〜です
例外(地名)
わたしは、習志野に 住んでいます。
「習志野」は、日本語能力試験のレベル外の単語です。しかし、地名なので言い換えることはできません。そのまま使用します。
語彙
次の語彙は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 私
- 住む
次の語彙はレベル外です。固有名詞や常とう語の場合のみ使います。
- 習志野
文法
次の文法は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 〜は
- 〜ています(〜でいます)
例外(その他・その 1)
余震(後から 来る 地震)に 気をつけて ください。
「余震」は日本語能力試験のレベル外の単語です。しかし、災害時などでよく使われる常とう語です。そのまま使います。その代わり、注釈「後から来る地震」を入れます。
語彙
次の語彙は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 後
- 来る
次の語彙は N4 レベルです。問題なく使うことができます。
- 地震
- 気をつける
次の語彙はレベル外です。固有名詞や常とう語の場合のみ使います。
- 余震(常とう語のため、注釈を入れることを検討)
文法
次の文法は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 〜から
- 〜てください(指示)
例外(その他・その 2)
消防車(火を 消す 車)が 来ます。
「消防車」は、N3 レベルの語彙「消防」と N5 レベルの語彙「車」を組み合わせた、難しい語彙です。
しかし、災害時などでよく使われる常とう語であるため、そのまま使います。その代わり、注釈「火を消す車」を入れます。
語彙
次の語彙は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 消す
- 車
- 来る
次の語彙は N4 レベルです。問題なく使うことができます。
- 火
次の語彙は N3 レベルです。できれば注釈を入れるか、他の語彙で言い換えます。
- 消防
文法
次の文法は N5 レベルです。問題なく使うことができます。
- 〜が